大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成元年(わ)774号 判決

本籍

大阪府八尾市恩智中町三丁目四六番地

住居

同市恩智中町三丁目四六番地

農業

浅井茂雄

昭和一六年一月一九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府八尾市恩智中町三丁目四六番地に居住し、農業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和六〇年分の実際総所得金額が七六〇六万二六五五円あった(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、継続して有価証券を売買したことによる所得をすべて除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、昭和六一年三月一三日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、昭和六〇年分の総所得金額が四八二万七一二〇円で、これに対する所得税額が五〇万四六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額四〇四三万五一〇〇円と右申告税額との差額三九九三万五〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた

第二  昭和六一年分の実際総所得金額が一億三四三五万四五九八円あった(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、昭和六二年三月一二日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分の総所得金額が四九八万七四六〇円で、これに対する所得税額が五三万一九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額八一〇二万八三〇〇円と右申告税額との差額八〇四九万六四〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の被告人に対する質問てん末書二二通

一  小西義明の検察官に対する供述調書

一  収税官吏の浅井洋司(二通)、浅井久彰(二通)、浅井ミツ子及び小西義明(四通)に対する各質問てん末書

一  浅井久彰作成の「供述書」と題する書面

一  収税官吏作成の査察官調査書一一通

一  検察事務官作成の捜査報告書

判示第一の事実につき

一  八尾税務署長作成の証明書(検察官請求番号3)

判示第二の事実につき

一  八尾税務署長作成の証明書(前同4)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、各罪につき情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文によりこれを被告人に負担させることとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙1

修正損益計算書

浅井茂雄

自 昭和60年1月1日

至 昭和60年12月31日

〈省略〉

別紙2

修正損益計算書

浅井茂雄

自 昭和61年1月1日

至 昭和60年12月31日

〈省略〉

別紙(3)

税額計算書

浅井茂雄

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例